風俗営業や水商売を公認会計士・税理士小松由和(小松会計事務所代表)が税金・節税・税務調査に絡めて解説するサイトです。

銀座等クラブ

 

銀座のクラブとタイトルはしましたが、高級クラブと読み替えていただいて結構です。大阪の新地、博多の中州、札幌のすすきの、仙台の国分町、名古屋の錦町にあるクラブなんかが該当するものと思われます。

1,源泉所得税

まず、最初にあるのはホステスの源泉所得税の問題です。高級クラブの場合は客が座っている席の横についているわけですから、これはどう考えても接待行為ということになります。所得税法上ホステスと認定されるとはっきり報酬つまり外注費扱いになります(所得税法204条)。これを時給計算なのだから従業員扱いにし、給与所得として処理するという経営者もいるかもしれませんが、それはかなり難しいと言わざるを得ません。もし給与所得とするならば、税務調査をするときに雇用契約書の添付はあったほうがいいと思いますし、204条の解釈を超えて給与所得としているわけですから相当の反対論証が必要です。従業員としての拘束性が強い雇用形態でなくてはいけません。ということで、当事務所ではよほどのことがない限り報酬(外注費)として処理しています。また、消費税課税期間ならば、報酬のほうが断然経営者にとってメリットがあります。なぜなら報酬(外注費)は仕入税額控除の対象であり、クラブ経営の大きな経費たるホステス報酬を課税売上から引けるのは大きな消費税節税につながります。

源泉所得税の計算方法についてはここで書かなくてもこのページをご覧になっている皆様は大丈夫かとは思いますが、一応書きます。

(支払報酬額ー5000円×当該支払金額の計算期間における全日数)×10%=(源泉所得税額)

この式の論点は次の通りです。

  1. 「支払報酬額」にはあらゆる経済的対価が入ります。ホステスの契約金はもちろん、無料で制服を貸与した場合や深夜タクシー代を渡したり、あるいは店の営業車で送迎した場合の対価まで含まれると言うこと。店の経営者はホステスを家族同然で扱っていらっしゃる方も多いのですが、税法上ではあくまで外注業者です。洋服の貸与や送り迎えの費用などはホステスからきっちりと徴収しましょう。そうでないと、税務調査の時に指摘されます。

  2. 「支払報酬額」には遅刻、同伴ペナルティを引く前の額で計算します。もちろん旅行積立控除、送り代や貸衣装代の控除前の金額になります。これも判例が出ております(平成18年03月23日平成17(行ウ)8等)。(判決文抜粋)本件各ペナルティは,単なる報酬の算定要素の1つではなく,債務不履行に基づく損害賠償債務としての実体を有しているものといえる。これらの事実によれば,本件各ペナルティは本件各ホステス辛皮酬の計算要素には当たらず,「同一人に対し1回に支払われる金額」は,本件各ペナルティ控除前の金額であると解するのが相当である。

  3. 「当該支払金額の計算期間における全日数」の扱いについてもいろいろ論点があります。昔は出勤日数と解釈されていましたので、ホステスが出勤していない日は計算日数に加えることができないという判例がありましたが(東京高等裁判所平成18年12月13日判決・平成18年(行)103(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第8、第10号)、しかしその後違う判例が出て(東京高等裁判所平成19年3月27日判決・平成18(行コ)157(原審・横浜地方裁判所平成17(行ウ)第1号))、現在は該当する全期間とする見解が有力です。裁判所の判断は裁判所は、ホステスに対する報酬について源泉徴収に係る所得税額を算定するに当たり、支払金額から控除する金額を算定するに際し、施行令322条にいう「当該支払金額の計算期間の日数」の意義につき、「当該支払金額の計算期間における全日数」を指すとする解釈は、当該期間内における実際の出勤日数を指すとする解釈よりも文理に沿っている上、そのように解することにつき格別不自然、不明確な点は見当たらず、同条にあってはその文言から一般的に解されるところを補って解すべき特段の事情が存在するとは認められないから、「当該支払金額の計算期間における全日数」をいうものと解するのが相当であると判断する。私が愛用する「図解源泉所得税」平成20年版では、計算期間又はその月の日数は、バー等の休業Bを除いた営業日数をいいますから、ホステス等が自己都合で休んだ日も含まれますしかし、ホステス等に売掛金回収責任がある場合には、バー等の休業日等においても回収業務を行うと考えられますのでバー等の休業日を含む計算期間又はその月の全日数により、また、ホステス等が勤務する日や曜日があらかじめ定められている場合又は支払金額の計算において欠勤日数を考慮することとしている場合には、当該定められた日数又は出勤日数により控除金額を計算します。と書いてあり「当該支払金額の計算期間における全日数」は「営業日数」と解釈していますね。当事務所ではこのような解釈の混乱経緯を説明し、「当該支払金額の計算期間における全日数」」を推奨しております。

  4. よくある体験入店の場合は1日でこなくなるホステスなどがいる場合がありますが、「当該支払金額の計算期間における全日数」は1日となってしまうと解するのが相当ではないかと思っております。

 

 

2,法人の場合のオーナーママに支払われる金銭はホステス報酬か?役員報酬か?

クラブが会社経営で代表取締役であり、かつママがホステスとして毎日と言わないでも常時出勤している場合、このママに支払われるのは役員報酬とするべきか?あるいはホステス報酬とするべきかは大変悩ましいところです。オーナーママともなると和服を着たり、美容院代も馬鹿になりませんし、交際範囲も広いので会社の経費とならないような接待費も出てきます。なので、合理的基準で報酬と給与部分を分けることになるかと思います。この場合は時給、月給や売上の%分などの基準を定めておくほうが税務署には好感が持てると思います。さらに契約書を会社とママの間で取り交わしていたほうが、あとあと問題はないかと思います。

 

3,ホステスチャージ

高級店になるとホステスが係りの客を持つ形態が多くなるかとは思いますが、一定の部分はホステスが客に請求できる部分(いわゆるホステスチャージ)があります。中にはボーイチャージやオールチャージ、テーブルチャージなどの売上があるはずです。つまり、実はクラブは売上が相当ややこしい状態があるのです。これらのまとめがなおざりになると店の信頼感がゆるぎますので、ちゃんと管理をする必要があります。ホステスチャージは銀座だと1万円なんて普通にあるので、その分配方法(ほとんどがホステスに流れると思いますが)や、このチャージも源泉所得税の対象になります。

 

4,ボトル台帳

期末の棚卸しの数字をボトル台帳上の数字であげる店がありますが、それは適切ではありません。実地棚卸しで上げる必要があります。実地棚卸しでも既に売っている分のボトルとそうではないボトルの区別も厳密には必要だと思いますが、ここの辺りは実際的には管理は難しいと思います。

 

5,立て替え

お客様が店内で寿司を取ったり、タバコを買いにいかせたりするとその代金はお客様の立て替えになります。この管理も難しい案件かと思われます。店によっては立替伝票を売上伝票とは別に作成しているところも多いようです。